【書籍紹介】私が「天久鷹央の推理カルテシリーズ」(著:知念実希人)をオススメする3つの理由と感想

2020年11月20日書籍

私のお気に入りの小説を他の人にも是非オススメしたいと思い、書籍紹介のコーナーを作成します。

今回紹介するのは知念実希人先生が執筆する、天久鷹央の推理カルテシリーズについてです。この作品をオススメする理由は3つあります。

※著者やイラストレーターに対し、先生という敬称を用いる点については意見が分かれる問題ではありますが、本サイトでは敬称として"先生"を使用させていただきます。

初めに作品の簡単な解説を挙げておきます。

天久鷹央の推理カルテ

ジャンルは医療ミステリーで、シリーズは現在11冊目まで新潮nexにて出版されています。

また、バンチコミックスにて漫画化されています。

あらすじについてはネタバレ等含んでしまうため、Wikipediaより引用します。

天医会総合病院の統括診断部には院内各科で「診断困難」とされた患者や、院外で起きた事件の相談依頼が集まる。それらの中から、天才だが人格破綻者の女医・天久鷹央が気に入った事件の謎を、部下の小鳥遊優と共に、患者の症状から病気を診断する診断医の能力を生かして解き明かす。

https://ja.wikipedia.org/wiki/天久鷹央の推理カルテ

著者

この作品の著者は”知念実希人”先生です。

現在も病院にて診察をされている現役の医師となります。

作品は病院を舞台としたものが多いです。

今回紹介する天久鷹央シリーズの他に、映画化された「仮面病棟」やドラマ化された「神酒クリニックで乾杯を」などメディア化作品も複数あります。

twitter(@MIKITO_777)では執筆中の小説についてだけでなく、医療に関することを一般人にも分かりやすく嚙み砕いて説明してくれています。

イラストレーター

表紙のイラストはシリーズを通して"いとうのいぢ"先生が手がけています。

「涼宮ハルヒの憂鬱」や「灼眼のシャナ」などのイラストを手掛けたことで有名な女性イラストレーターです。

私がこの小説を推す3つの理由

  1. 現役医師が執筆する医療ミステリー
  2. 微笑ましくももどかしい恋模様
  3. 魅力的なキャラクター

現役医師が執筆する医療ミステリー

天久鷹央の推理カルテシリーズの著者である知念実希人先生は現在も病院にて診察されている現役の医師です。お医者様と作家の2つの先生ですね。

医療ミステリーと言えば医局の政権争いや医療ミスと言ったドロドロの人間ドラマといったイメージが強いと思いますが、本シリーズは病気そのものがミステリーの根幹となっている点で大きく異なる作品となっています。

主人公の目の前に次々と現れる不可思議な現象、それがすべて医学的に解明されていく様子は不思議と爽快感のあるものに仕上がっています。

原因となる病気についても難しいものは無く、バラエティ番組やニュースなどでも見かける病名が多い点もかなりポイントが高いのではないでしょうか。知らない病気出てきても種明かしで理解できないですからね…

もちろん医療に関係する内容が多々含まれており、専門用語や業界用語も度々登場します。が、そこは現役の医師が執筆しているだけあり、物語の進行を妨げることの無いよう、一般人でも分かりやすく、さりげなく解説がされています。

天才女医"天久鷹央"のもったいぶった診断(種明かし)からは目が離せません。

微笑ましくももどかしい恋模様

作品内での時間経過とともに少しずつ変化していく関係性に引き込まれること待ったなしです。

ネタバレ防止のため詳しくは書けませんね。中高生の青春をまざまざと見せつけるようなとにかく甘酸っぱいやり取りという訳ではありません…が、お互いの気持ちに素直になれない描写が素晴らしいです。

読んでいるこちらが恥ずかしくなるような胸キュンがあるかと思えば、あまりにももどかしい瞬間もあったりと悶絶級のラブコメから目が離せません。

魅力的なキャラクター

前述した恋模様をより一層深みのあるものにしてくれる魅力的なキャラクター達にも注目です。

病院を中心とした作品のため、医療従事者が多めです。誰もが患者のことを大事に想っていて、お互いに同僚のことを気にかけていて、困っているときには助け合う。そんな人間味の溢れるキャラクターたちに心を揺さぶられます。

キャラクター同士の掛け合いはテンポよく臨場感のある描写がされており、まるで自分がその場にいるかのように錯覚してしまいます。自身が一緒に笑って怒って泣いて、そんな体験をしているような気がしてきます。

キャラクターたちのことをより深く知りたい、もっと掛け合いに浸っていたいと思える魅力的な作品です

読む順番

天久鷹央の推理カルテにはナンバリングされたものと書き下ろしのものが混在しています。そのため、どの順で読めばよいか分かりづらい部分があるためメモを兼ねて掲載しておきます。(リンク先:楽天ブックス)

  1. 天久鷹央の推理カルテ(2014/10/01)
  2. 天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟(2015/03/01)
  3. 天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア(2015/06/01)
  4. スフィアの死天使 天久鷹央の推理カルテ(2015/09/01)
  5. 天久鷹央の推理カルテⅣ 悲恋のシンドローム(2016/02/01)
  6. 幻影の手術室 天久鷹央の推理カルテ(2016/09/01)
  7. 天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト(2017/03/01)
  8. 甦る殺人者 天久鷹央の推理カルテ(2017/11/01)
  9. 火焔の凶器 天久鷹央の推理カルテ(2018/09/01)
  10. 魔弾の射手 天久鷹央の推理カルテ(2019/09/01)
  11. 神話の密室 天久鷹央の推理カルテ(2020/09/01)

上記のように、5以降はすべて書き下ろしの作品となっており、発売ペースは年1冊となってます。他シリーズや作品、メディア化などもあり忙しいのではと思います。

感想

この本を手に取ったきっかけは私がのいぢ絵が好きだからという単純なものでした。シャイニングフェザーで初めていとうのいぢを知ったのですが、まさか文庫コーナーで見かけるとは思いもしませんでした笑。

当時は一巻が発売されたタイミングでお試しのつもりで購入しました。

普段は電車内でしか本は読まないのですが、この本は一晩で一気読みしてしまうほど面白かったです。

私が好きになる作家には共通点があり、いづれもキャラが勝手に走り出すタイプのものです。日常生活であのキャラならどう動くかという事が思い浮かぶ感覚と言えば分かる方もいると思います。

天久鷹央シリーズはドンピシャで当てはまる最高の作品だと思います。

それだけであれば面白い本で終わってしまうところなのですが、本シリーズにおいては現役の医師が執筆する医療ミステリーという点において圧倒的な面白さがあります。

医療ミステリーの多くは医局内の派閥争いなどが描かれることが多いですが、このシリーズでは犯行や動機に関して実在の病気が絡んできます。それも聞いたことの無い病名でなく、ドラマやニュースで耳にしたことのあるような病名が原因となっています。

犯人サイドの物語を細かくしっかりと描ききった医療ミステリー、事件は単なる事件でなく不可思議な要素を秘めているという他にはない感覚を味わえる最高の作品だと思います。不可思議要素をキャラの個性でまとめつつしっかり病状として落とし込むところは見事としか言えません。

また、ミステリーならではのシリアスシーンと、キャラクター同士の掛け合いとなるラブコメの緩急の付け方が絶妙なバランスで配置されています。冗長的にならない気持ちの良い掛け合いは必読です。

シリーズ内で展開される凸凹コンビの恋の行方や周囲の人間模様などハイスピードかつノンストップで展開されるドラマに今後の作品にも期待が高まります。

現役の医師が執筆する医療ミステリーを皆さんにも一度読んでいただきたいと思い投稿しました。気になった方は一巻だけでも読んでみていただきたいです。一巻読めば全巻購入待ったなしですので笑。

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