【環境保全型建築】牧野植物園を見学。植物分類学の父、牧野富太郎の功績を知る
高知県立牧野植物園
牧野植物園は、日本の植物分類学の父とも言われる、牧野富太郎博士の業績を顕彰するため、博士逝去の翌年に開園しました。現在では、植物研究、植物知識の普及、植物展示を通じた憩いの場の提供という3つのミッションを推進する総合型植物園として運営されています。2019年からは施設の拡張・リニューアルが行われ完成が待ち望まれています。
園内は約20haと広大で、大きな温室のほか牧野富太郎記念館本館・展示館、土佐寒蘭センターなど複数の施設を有しています。展示されている植物は約3000種類となっており、四季折々の花を見ることが出来るほか国内外の希少な植物を見学することが可能です。また、土佐の植物生態園が整備され、高知県内の植物生態系を深く知ることが可能です。
3つのミッションの一つである研究活動も活発に行っており、高知県内の野生植物調査・保全活動の他、ミャンマーにおける植物多様性の解明および資源植物の調査をしています。
基本情報
- 公式ホームページ
- 住所:高知県高知市五台山4200-6[GoogleMapで開く]
- 開園時間:9:00~17:00
- 休園日:12/27~1/1、不定期にメンテナンス日あり
- 料金:大人730円、高校生以下無料
自家用車の場合、高知ICから約20分ほどです。駐車場は無料で使用できるものが180台ほどあります。立地は小高い山の上となっており、駐車場まではヘアピンカーブのある山道ですが基本的に一方通行で、道幅も十分にあるため安心です。公共交通機関の場合は高知駅からバスで30分ほどです。
牧野富太郎
牧野植物園を紹介する上で欠かすことが出来ない人物です。植物学に興味のある方であれば一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
牧野富太郎は「日本の植物分類学の父」と呼ばれるほどの植物学者で、多数の新種を発見、命名しています。日本で初めて植物に学名を付けたことでも有名です。これほど優秀な人であれば良い生活をしていたと思いそうですが家財道具が競売にかけられほど貧しい生活を送っていたそうです。研究に資金を使いすぎたようですが笑。
帝国大学(現東京大学)の理学部・農学部で研究を続け、この間に数多の植物に命名をしています。学歴が小卒ということもあり、研究成果の割に学内では疎まれていたそうです。
1940年には牧野植物図鑑を刊行し、これが改訂を繰り返しながら現在でも販売されています。この図鑑は学校の図書館などにも採用されており、一度は目にしたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
没後は牧野植物園の開園、文化勲章の授与などその功績が称えられることとなりました。
牧野富太郎の一生については園内の牧野富太郎記念館で詳しく解説されています。有名な植物博士とは思えない生涯に驚くばかりですが、残された成果・資料は現在まで脈々と続く素晴らしいものばかりです。
温室
温室の入り口は「みどりの塔」と名付けられた、大木の洞窟をイメージした塔で、アコウが壁面に植えられています。アコウは空気中でも根を伸ばすことが出来る植物で、時間の経過とともに塔の内壁が根で覆われていくように設計されています。2010年に完成してから10年間で根がかなり伸びてきており今後が楽しみです。
上を見上げるとラピュタの世界観を彷彿とさせる不思議な景色が広がっており、これから入る温室に期待が高まります。
温室内は大まかに分けると乾燥地、水辺、ジャングルと展望デッキになっています。見学時は展望デッキが封鎖されていました。また、企画展として「旅するラン展」が開催されており、温室内のいたるところに蘭が咲き誇っていました。
蘭といえば胡蝶蘭が有名ですね。もちろん胡蝶蘭のような大型のものも好きですが、個人的にはこういった造形の凝った小型の蘭が大好きです。いろいろな蘭を見ることができてとても楽しかったです。冬場は屋外が少しかなり寂しいので温室内での特別展に力を入れてもらえると嬉しいですね。
植物園は冬場はどうしても寂しくなりがちですが、温室を持っている施設はその分そちらに力を入れることが多いので冬場の植物園は実は結構おすすめです。屋外についても冬にしか気づけない発見がいろいろありますし、植物ごとの新芽の違いなんかも面白いですよ笑。
牧野富太郎記念館
牧野富太郎記念館は本館と展示館に分かれています。本館では主に博士の蔵書や遺品など58000点が保管されています。一般人が目にすることは無いようですが。また、図書館やホールがあり、講演会などが開催されることもあるそうです。
展示館には博士の生涯に関する展示と体験型の展示、植物に関する基礎知識を学ぶパネルが展示されています。葉緑体の3Dモデルは初めて見ました。シアターも設置されており、30分おきに植物に関する上映が行われています。
記念館の最大の特徴は建築物そのものです。
建築家である内藤廣氏によって設計された記念館は、サステイナビリティー(持続性)をテーマとしています。自然と人間とが共生する世界を持続していくための工夫が建物の構造や設備に生かされているそうです。この建物は、環境保全型建築の方向性を示す建築物として数々の賞を受賞しています。
中央に竹林を配置し、周囲をウッドデッキで覆うすがたはとても印象的で不思議な感じがします。
屋外展示
屋外展示はとても広範囲に広がっています。先に挙げた各施設間はもちろん、さらに外側にも敷地が広がっています。桜や紅葉など季節感を感じる樹木だけでなく、土佐の自然を再現した庭園や、水辺の植生を再現した庭、高知愛媛間に広がるカルスト地形を再現した庭など様々な景色が広がります。
小高い丘になっているこんこん山広場からは、高知市内を見渡すことができます。見学時は冬だったため景色は寂しいものでしたが、春になれば桜が咲きピクニック等で賑わうのではないでしょうか。
▼▽▼▽ 周辺にある観光施設の記事はこちら ▽▼▽▼
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません